映画「Mommy」の感想。

グザヴィエ・ドラン監督の話題作「Mommy」。ようやく観ることが出来ました。

まずはストーリーの紹介。

 

とある世界のカナダでは、2015年の連邦選挙で新政権が成立。2ヶ月後、内閣はS18法案を可決する。公共医療政策の改正が目的である。中でも特に議論を呼んだのは、S-14法案だった。発達障がい児の親が、経済的困窮や、身体的、精神的な危機に陥った場合は、法的手続きを経ずに養育を放棄し、施設に入院させる権利を保障したスキャンダラスな法律である。ダイアン・デュプレの運命は、この法律により、大きく左右されることになる。

 

無知なために撮影や演出のことを詳しく語れないのが痛い。ただ、ドラン監督の作品には独特の空気感があります。アデルのMVも制作していましたが、冒頭で「あ、これは。となります」

そしてシーンを彩る名曲の数々。テーマは社会派だと思いますが物語は説明的にならず、音楽とともにテンポよくストーリーが展開していきます。

最近は日本国内でもよく取沙汰される発達障害。そして格差と貧困の問題。愛があればそれらの困難を乗り越えられるのか否か。ごく身近でどこの社会にも起こり得るこれらの問題に関しこの作品が突きつけた答えは「否」なのだと思います。ADHDの息子と暮らすダイアンは、田舎での新生活に精神疾患で休養中のカイラとの出会いや息子スティーヴの成長ぶりなどで少しずつ生活に希望を見出していきますが、やはりその幸せな日々は長くは続きません。経済的な困難やスティーヴの自殺未遂などによって追い込まれ、ダイアンはある決断をします。そして言います。「私は家族を捨てるのではない。希望を捨てたくないだけなの」どんな苦しみの中にあっても希望を抱いて生きなければ、そのような強いメッセージを打ち出してラナ・ディルレイのborn to die でエンディングを迎えます。

 

ただ生きるということの困難を噛みしめました。綺麗ごとを並べてることは簡単だけど、現実ってこうかもしれない。ただ、そのような困難の中にあっても人は強く生きていかなければならないのでしょうね。